手向けのかもじたむけのかもじ
悔やみの席に出た男が、線香を上げるところで思わぬものに行き当たる話。
あらすじ
お店の旦那が亡くなったので手伝いに行くよう女房に言われた熊さんは、くやみの口上を教わって、なれない様子でお店へ向かいました。
お店では、くやみに訪れた客たちが、物価の値上がりを嘆いたり、自分の女房ののろけを話したりと、思い思いに過ごしています。
熊さんはしどろもどろに挨拶をすませ、線香を上げようとすると、三方の上に髪が乗せられ、和歌を記した色紙が添えられているのに気づきました。「長かれと祈るえにしの短こうて、いらぬ我が身の髪の長さよ」
これは、亡くなった旦那への操を立て、二夫にまみえないという誓いを、奥様が自ら髪を切って示したものだと聞かされ、熊さんはすっかり感心します。
家に帰った熊さんは女房にこの話を聞かせ、お前にはとても及ぶまいと得意げに言い、そのまま昼寝をしようとしますが、ふとんが短くて足がはみ出してしまいました。
文句を言う熊さんに、女房はすかさずこう返しました。「長かれと祈るふとんの短こうて、いらぬ亭主の足の長さよ」
成立と背景
速記は残っておらず、当代の橘家円蔵が高座にかけています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

