指南書しなんしょ
和尚の残した指南書を頼りに暮らす男が、書かれた一言に助けられる話。
あらすじ
やきもちやきの息子が妻とけんかを繰り返すのを案じた父親が、息子をなじみの寺で修行させたところ、人が変わったようにおとなしくなりました。父親はやがて安心して亡くなります。
これに続いて寺の和尚も病みつき、臨終の際に息子を呼び寄せて「私が死ねば一年もたたずお前は元通りになるだろう。ここに指南書という本がある。腹が立ったり気が迷ったりしたときはこれを開いて見なさい」と言い残して亡くなりました。
ある日、江州草津の叔父のもとへ五十両を届けることになった息子は、三条通りから山科街道へ出ると、うさんくさい旅の男と道連れになります。指南書を開くと「旅は道づれ世は情」とあり、安心して連れ立って進みました。
渡し舟がまさに出ようとしているところに来ると、道連れの男は舟で行くといいます。息子が指南書を見ると「急がばまわれ」とあったので、男と別れて陸路を進みました。
途中で嵐にあいながらも夕方に草津へ着くと、叔父からさきほどの渡し舟が転覆し、乗っていた者がみな亡くなったと聞かされ、肝を冷やします。
家族が心配していると急いで帰る途中、名物の姥ヶ餅を買い求めます。家に着き障子の破れ目からのぞくと、女房が誰かと二人で寝ている姿が見えました。
「間男を引き込んだのか」と指南書を見ると「七度たずねて人を疑え」とあり、思いとどまります。実は添い寝していたのは女房の母親でした。
翌朝みなで姥ヶ餅を食べようとすると腐ったにおいがします。指南書を開くと「うまいものは宵に食え」とありました。
成立と背景
二代目桂文之助が作った上方ばなしで、東京でも演じられます。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

