仕込みの大筒しこみのおおづつ
無銭飲食の手口を自慢する男が、次の当てまで口にする話。
あらすじ
先日、大阪の南で無銭飲食をうまくやってのけたと、ある男が自慢話を始めます。さんざん飲み食いして泊まった末に、高津さんの神主の奥さんが自分のおばだと偽り、付き馬を引き連れてみんなで高津神社へ向かいました。
階段のところに一同を待たせ、男は一人で上へ上がっていいかげんなことを言うと、紙に石を包んで金に見せかけ、石段のちょうど真ん中へ投げ落とします。付き馬がそれを拾おうとした拍子に、みなが階段の上と下へ半分ずつ分かれて一斉に逃げ出しました。付き馬はどちらを追うか迷ううちに、まんまと逃げられてしまいます。
南へはしばらく顔を出せないので、次は北を狙おうという話になりました。北の新地では、大尽らしい格好をして店先で「お仲、お絹」とでたらめな名を呼び、水を一杯くれと言って玄関先で寝込んでしまいます。
店の者が店違いではないかと言っていると、大勢が「旦那、こんなところにいてはったんかいな。鴻池はんも住友はんもみな待ってはりまっせ」と押しかけてきました。男は「あんな連中は待たせておけばよい」と応じつつ、店を間違えたふりをして「宵の口に間違ったのはすまん、ここで軽く飲んで行こう」と言います。店の者はすっかり信じ込み、一同を迎え入れました。
連れの中の一人が「これからまた高津さんへ行くのか」とたずねると、男は答えました。「あほ言うな。きょうは天満の天神さんじゃ」
成立と背景
上方の噺です。演題「仕込みの大筒」の意味ははっきりしませんが、仕込みには趣向という意味合いがあり、大がかりな無銭飲食を指したものかと考えられています。サゲの意味も判然としませんが、天満の天神には坂も石段もないため、階段を使った前の手口が通じずに終わる、という見立てを表したものかもしれません。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

