渋酒しぶざけ
別題: 杉酒屋
山中の一軒家で留守番をした旅人が、見てはならぬ座敷を覗いてしまう話。
あらすじ
旅人が山中で宿を探しますが、なかなか泊めてくれる家がありません。無理を言ってようやく一軒に泊めてもらうことになりましたが、留守番を頼まれます。
隣の間はあけないようにといわれたものの、旅人はこわいもの見たさであけてしまいます。中にはふとんに寝かされた女の死体があり、枕もとには線香とはしを立てた飯が置かれていました。
机のかげから白く細い手がすっと伸びてきたので、旅人は驚いて気を失ってしまいます。
帰ってきた家の主人は、「あれは今朝死んだわしの女房だ。手を出したのは三つになる子供で、母親が死んだのを知らずにいつも通り添い寝しようとしただけだ」と説明しました。
夜が明けると、旅人は逃げるようにその家をあとにし、峠の茶屋で酒を注文します。厠を借りようと裏へ回ると、男が一人しばられていました。
店の主人に尋ねると、「うちの酒を渋いといったのでしばった」とのことでした。旅人が主人の持ってきた酒を一口飲むと、口がしびれるほど渋い酒です。「どうだい、うまかろう」と聞かれた旅人は、自分の両手をうしろに回し、「へえ、お爺さん、しばっておくんなさい」と答えました。
成立と背景
三遊亭円朝は「杉酒屋」という題でこの噺を演じていました。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

