落語の演目

小夜衣さよごろも

滑稽噺名前見立て

顔世御前が肌を見せたことから起きた騒動を、枇杷葉湯にかけて語る話。

あらすじ

むかし薬屋の店先では、釜でわかした枇杷葉湯という婦人向けの妙薬を、道行く人にふるまうならわしがありました。この噺は、その枇杷葉湯にちなんで語られます。

昔から、女は肌をむやみに人に見せるものではないとされていましたが、あるとき肌を見せたことがもとで夫を切腹させ、家を取りつぶされる大騒動を引き起こした女性がいました。忠臣蔵でおなじみ、播州の城主塩谷判官高定の妻、顔世御前です。

ある日顔世は、湯上がりの肌をとなりの高師直にうっかり見られてしまいます。その美しさにすっかり心を奪われた師直は、吉田兼好に恋文の代筆を頼み、小間物屋の老婆に届けさせました。

顔世は文を開封もせずに送り返しましたが、その包みに「小夜衣」とだけ書き添えていました。師直はこれを、恋のかなわぬ悲しみを詠んだ古歌になぞらえたものと思い込み、なおも未練がましく歌を口ずさみます。

この一件を伝え聞いた顔世は、天下の執権にあたる相手からつまらぬ言いがかりで夫に迷惑がかかっては困ると案じました。そして自分はすでにいわくのある身であることも考え合わせ、ある妙な考えを起こします。

実は顔世は烏丸家から嫁いだ養女で、その烏丸家こそ枇杷葉湯のもともとの出どころだということでした。

成立と背景

忠臣蔵の物語が始まる前のいきさつを描いた珍しい噺です。橘家円喬が演じた際の速記が残っています。

別題「ちり塚お松」という、内容の異なる同名の噺もあり、こちらは五代目三遊亭円生が一朝老人から伝授されたものです。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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