酒代さかだい
祝儀の鯛を取られた男が、代わりの葱を宝船に見立てて差し出す話。
あらすじ
正月、三、四人の男たちが金を工面して一杯やろうと相談していると、そこへ弥太が通りかかりました。弥太は毎年、女房に持たされた鯛を手土産に旧主人のもとを訪ね、縁起を担ぐ隠居から祝儀の一円をもらってくるのが習わしでした。
ところが今年は運悪く仲間に呼び込まれ、持っていた鯛を取られてしまいます。困っていると、五分に切った葱へ塩をひとふりし、宝船になぞらえた口上とともに差し出せば、三円はもらえるはずだと知恵をつけられました。
教わったとおりにすると、隠居のもとでうまく三円を手に入れることができました。一円は酒代に、残る二円は女房を喜ばせるために使おうと、弥太は上機嫌で出かけていきます。
隠居は葱と塩の取り合わせを見て、「この趣向は狂歌の意味だけではあるまい。葱は冬に栄える常磐木、これは松に見立てたのだろう。塩は雪、つまり雪中の松という趣向だな。弥太、これは勅題という趣向か」と尋ねます。弥太はこう答えました。「いえ、実は酒代でございます」
成立と背景
昭和七年に大文館書店から出た『新落語全集』という本に、柳家つばめの口演の記録が載っているだけで、ほかに記録のない演目です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

