落語の演目

親売りおやうり

滑稽噺夫婦女房

別題: 親売り物

親のない車夫夫婦が、金をためて広告どおり親を買いに行く話。

あらすじ

車夫の孝吉は夫婦そろって身寄りなく育ち、互いに親というものがありませんでした。ある日、親を売るという新聞広告に気づき、さっそく買い求めに出かけます。

ところが値段は百円という、当時としては大金でした。女房と相談し、蓄えていた三十数円を手に周旋屋へ掛け合うと、二か月待ってもらえることになります。

二か月のあいだ懸命に働きましたが、貯まったのは五十円あまり。仕方なく親を買うのはあきらめ、先方も親を売るくらいだから困っているはずだと、この金だけでも渡してほしいと周旋屋に頼みに行きます。

話を聞いた周旋屋は孝吉の心がけに感心し、不足分は自分が立て替えて百円にしようと申し出て、孝吉を連れて先方を訪ねました。訪ねた先は大きな屋敷で、そこには品のよい老人が住んでいました。

孝吉は新しい着物をあてがわれ、老人から夫婦養子にすると告げられます。孝吉はもちろん、居合わせた老人の親戚たちも驚きを隠せませんでした。

親戚たちが血筋の正しい家柄なのに素性の知れぬ者を跡継ぎにするのはあんまりだと詰め寄ると、老人は、お前たちは地位や名誉と言うが本当は金が目当てだろう、この孝吉は百円もの大金を出して厄介者の親を買ってまで孝行しようとしている、お前たちにも親があるのだから家に帰って聞いてみろとたしなめました。

孝吉が「へえ、皆様には親御さんがいらっしゃるのですか」と尋ねると、「人間として親のない者があるか」と返されます。孝吉はこう答えました。「私はただいま片親ができたばかりでございます」

成立と背景

春風亭柏枝を名乗ったのち入船亭扇橋となった演者(三代目燕枝の父にあたる人物)がこの噺を演じていたといい、作者は二代目燕枝ではないかともいわれています。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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