落語の演目

鬼の面おにのめん

滑稽噺上方落語が原話小僧

親と思って眺めていた面を入れ替えられ、小僧が国へ走る話。

あらすじ

池田の奥にある山村から大阪の船場へ奉公に来た定吉は、親が恋しくて、恵比須とお多福の面を箱に入れ、朝な夕なに父母と思って眺めていました。

ある日、番頭がいたずら心を起こし、恵比須の面をひそかに鬼の面へすり替えてしまいます。それに気づいた定吉は仰天し、きっと父親の身に何かあったに違いないと思い込みました。

居ても立ってもいられず、無断で店を抜け出した定吉は、飲まず食わずのまま池田へと急ぎます。たどり着いたころにはもう日が暮れていました。

山道にさしかかると寒さと空腹で歩けなくなり、道ばたの無人小屋に入って横になりますが、すきま風で鼻の頭が冷えてたまりません。ふところの鬼の面をかぶってうとうとしていると、騒がしい人声で目が覚めました。

むしろの仕切りの向こうでは、数人の男たちが集まって博打をしていました。何も知らない定吉が火にあたらせてもらおうと顔をのぞかせると、「うわっ、鬼や」と男たちは我先に逃げ出してしまいます。

残された食べ物をたらふく食べて朝まで休んだ定吉は、散らばった金をかき集めて家路につきました。無事にたどり着いた息子を見て父親は仰天し、事情を聞くと代官所へ訴え出ます。

役人は、御法度の博打の金だからそっくり定吉に下げ渡すと申し渡しました。父親が「これも鬼の面のおかげや」と喜ぶと、付き添っていた名主が「道理で金札つかんだ」と応じました。

成立と背景

上方に伝わる噺で、各地に類話が残る昔話の型をもとにしているとされます(『日本昔話集成』四七四「鬼の面」)。

サゲの金札は、渡辺綱が羅生門で鬼から片腕を斬り落とした際、証拠として持ち帰ったという金箔付きの立札を指します。閻魔が亡者を裁くとき、善人には金札を、悪人には鉄の札を渡して行き先を分けたという言い伝えもあり、このサゲには金札=善人という意味も重なっています。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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