落語の演目

臆病源兵衛おくびょうげんべえ

滑稽噺八五郎若旦那

別題: 浄行寺

臆病な男を脅かそうとした悪ふざけが行き過ぎ、当人が死んだと思い込む話。

あらすじ

たいへんな臆病者として知られる源兵衛を怖がらせてやろうと、隠居と八五郎が示し合わせます。夜は決して外を歩かないという源兵衛でしたが、言葉巧みに誘われて隠居の家まで連れ出されました。

源兵衛が鉄瓶に水を足しに震えながら台所へ向かうと、待ち構えていた八五郎がほうきで顔をなでてきます。驚いた源兵衛は声をあげ、夢中で八五郎の急所をつかんでしまいました。

八五郎はその場で気を失ってしまいます。隠居から高輪の寺へ運んで捨ててくるよう言いつけられた源兵衛は、八五郎をつづらに詰めて寺の軒下に置き、そのまま逃げ帰りました。

そこへ品川帰りの三人連れが通りかかります。盗人が置き去りにした荷だと思い込み、手を突っ込んでくすぐったりしていると、中の八五郎が息を吹き返しました。三人は驚いて逃げ去ります。

目を覚ました八五郎は、あたりを極楽と思い込み、蓮の花を仏の台座と勘違いして池の蓮を踏み荒らします。棒を持った寺の下男に追いかけられ、裏通りのような場所まで逃げ込みました。

八五郎はそこでこうつぶやきます。「ここは地獄かな。きいてみよう。もしもし、ここは地獄ですか」すると、こう返されました。「冗談いっちゃいけないよ。表向きは銘酒屋でございます」

成立と背景

銘酒屋とは、正体を隠した非合法の売春宿を指す隠語です。「地獄」をもぐりの売春宿を意味する俗語と受け取ったうえでの問答がサゲになっていますが、今日ではこの言葉遊びは伝わりにくくなっています。

この噺を得意にしていた二代目三遊亭金馬は、同じ「ここは地獄ですか」という問いに対して「いいえ、旦那のおかげで極楽さ」と答える、別の言い方でサゲをつけていたと伝えられています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

← 落語の演目一覧へ