落語の演目

能祇法師のうぎほうし

滑稽噺泥棒義太夫東海道

本を盗まれた法師が、盗人の律儀さに感心する話。

あらすじ

俳諧師の宗祇を慕ってその道に入った能祇法師という僧がいました。東海道は大磯の西寄りに小さな庵をむすび、日々のんびりと暮らしていました。

ある晩、伊勢物語を書き写していると、泥棒が忍び込みます。ほかに盗むものが見当たらず、泥棒は伊勢物語をひったくって逃げ出しました。

能祇法師はあとを追いかけ、その代わりになるものをやろうと、行灯の紙にさらさらと一句をしたため、これを切り取って持って行けば金に換えられると告げました。

翌日、泥棒はこれを店に持ち込み、十両で買い取ってもらいました。ところがそのために、能祇法師の庵に忍び込んだことがすぐに知れてしまいます。

紙には「盗人の門閉てて行く夜寒かな」という句が書かれていたのです。事の次第を悟った泥棒は、あわてて能祇法師のもとへわびに出かけました。

こんこんと意見されたあと、能祇法師は「ところで、一つ聞きたいことがある。はじめに伊勢物語を持って出るとき、どうして門を閉めて行ったのだ」と尋ねます。泥棒はこう答えました。「あけっぱなしは物騒でございますから」

成立と背景

俳諧師にまつわる逸話の一つで、騒人社の『名作落語全集』は蝶花楼馬楽の口演を収め、講談社の『評判落語全集』では演者を蝶花楼馬之助として速記を掲載していますが、内容は同じです。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

← 落語の演目一覧へ