野辺のべ
伊勢参りの道中で、疲れた連れが言葉のあやで言い返す短い話。
あらすじ
伊勢参りに出かけた仲のよい二人連れが、奈良の名所をひととおり見物したあと、野中の道を洒落の句を詠み合いながらのんびりと歩いていました。
そのうち、一人がすっかり足にくたびれを覚えてしまい、とうとうこらえきれずに、もう一歩も歩けないと弱音を吐きました。「足がわらじを食って、もう歩けん」
それを聞いた連れがすかさず、それは言葉の順序が逆さまだろうと、茶々を入れて言い直させます。「それを言うなら、わらじが足を食ったと言うんだ」
すると、こう返されました。「足がわらじを食わんとも限らない。向こうへ行った道者は、頭が笠を食ってる」
成立と背景
「東の旅」の一部で、「奈良名所」と「煮売屋」の間に入る話です。もう一つのサゲとして、連れが小声で「足に……ができた」とささやき合い、「なんだ、豆ができたのか」「大きな声を出すな、向こうで人が聞いている」と落とす型も伝わっています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

