似顔の鞘当にがおのさやあて
別題: 団扇げんか
役者の似顔うちわを屋敷に売り込み、奪い合いの騒ぎになる話。
あらすじ
丸の内の大名屋敷に仕える女中方を相手に、役者の似顔を描いたうちわを売り込んでみようと考えた男が、さっそくあるお屋敷に呼び込まれました。
並べられたうちわを見つけた女中方が大勢集まって来て、それぞれ贔屓にしている役者のうちわを引っ張り合い、大変な騒ぎになってしまいます。
見かねた御老女が仲裁に入り、「お買い上げの後で恨みが残らないように」と、取り合いになっていた三本のうちわを燃やしてしまいます。
煙が立ちのぼると、一同はぼんやりと夢心地になり、団十郎の不破と高助の山三が芝居がかりで現れ、鞘当ての一幕を演じて消えてしまいました。
夢から覚めたように正気に戻った一同を見て、お広敷役人が不思議そうに「商人、この騒ぎがよく早く静まったな」と声をかけました。
男はこう答えました。「なに、丸く収まるわけで、もとがうちわのけんかだから」
成立と背景
雑誌「百花園」に桂文治の速記が残っていますが、その後演じ手が絶えています。柳派に伝わる「うちわや」という演目が、この噺にあたるのではないかと考えられています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

