ないもの買いないものかい
ありもしない品を注文して店を冷やかして歩く二人の話。
あらすじ
二人連れが、股引きの裾が出ない品や、両足に金を入れて運びながら払いに使うといった、存在しない品物を注文しては店々を冷やかして歩きます。
帰り道、魚屋に立ち寄り、一円の鯛を十銭にまけろと持ちかけます。魚屋は手にした杭を耳に当て、「杭が、魚仲間の手前まけられないと言っている」と断りました。
客は「それなら一円で買う」と言い、鯛をわざわざ七つ半に切り分けさせたうえ、出刃包丁の背や柄で何度もたたかせてから竹の皮に包ませました。
代金を払う段になると、客も同じように銭を耳に当て、「銭仲間の手前、十銭にまけたものを一円で買い戻すわけにいかないと言っている」と告げて帰ってしまいました。
女房が「鯛をめちゃめちゃにされて、あんたも、たいのない人やな」と亭主に言うと、亭主はこう答えました。「杭があったさかい、こんな目に会うた」
成立と背景
上方に伝わる噺です。「たいのない人」は「意気地がない」に鯛を掛けた洒落で、これがサゲになっています。わかりにくいためか、「骨は私が拾うてやる」という別のサゲで演じられることもあります。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

