落語の演目

九尾の狐きゅうびのきつね

滑稽噺武士江戸

玉藻の前の正体をめぐる伝説を、聞き手とのやりとりで運ぶ地噺。

あらすじ

鳥羽院の御代、宮中に仕えた玉藻の前という女官がいました。その正体は金毛九尾白面のキツネで、天竺や唐土で帝王をたぶらかしたのち、日本へ渡って来たものでした。

もとは坂部庄司行網という武士が、清水観音への参詣の帰りに拾った女の子でした。藻と名づけて育てると和歌の才能を鳥羽院に認められ、玉藻の前として宮中に仕えるようになりましたが、まもなく帝が重い病にかかってしまいます。

陰陽頭の安倍保親が易占によって玉藻の前を怪しみ、調伏の法を行うと、キツネの正体を現して東の方へ飛び去りました。三浦介義澄と上総介広常の二人が、このキツネを退治するよう命じられ、都を出発します。

二人は江戸へ来てから、毎日あちこちでキツネの行方を尋ねまわりました。浅草の馬道を通りかかったとき、一軒の床屋の店先で、客たちが吉原の三河屋にいる女は三千年を経た古ギツネらしいと噂しているのが聞こえてきました。

二人が三河屋に乗り込んで問いただすと、その女は顔が白く、金でしばられているという返事でした。金毛白面のキツネに違いないと確信し、名を尋ねます。「そのキツネの名は、玉藻の前と申さんか」「いいえ」

「はてな。それでは尻尾がありはしないか」となお尋ねると、女は落ち着いて答えました。「へえ、この物日前には尻尾を出すだろうという評判でございます」

成立と背景

前半を講談調、後半を落語調で演じ分けるむずかしい噺で、先代小圓朝が得意にしていました。

話に出てくる「物日」とは、祭日や祝日など特別な行事のある日のことです。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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