黒玉つぶしくろたまつぶし
別れを惜しむふりをして茶で目を濡らした女郎が、顔を見られて言い繕う話。
あらすじ
ある女郎のもとに通いつめていた男が、遠方へ行くことになり、いとま乞いにやって来ました。女郎は「わたしはあなた一人が頼りだったのに」と悲しそうな顔をしてみせます。
女郎はお茶を入れさせると一口飲んで隠し持ち、袖で顔を隠しながら、こっそり指に茶碗の茶をつけて目元を濡らし、「悲しい、悲しい」と泣いたふりをしました。男はそれと気づかず、うつむいて本気で悲しんでいます。
隣の座敷にいた客がその様子を見つけ、「悪い女だ」とすずりを取り寄せ、墨をすって茶碗に入れ、女郎の茶碗とこっそりすりかえておきました。女郎はそうとは知らず、「悲しい」と言いながら墨の入った茶を目元につけてしまいます。
ふと目が合った男は、女郎の顔を見て驚きました。「その顔はどうした」と鏡を見せられた女郎自身もびっくりしましたが、何食わぬ顔でこう言い繕いました。「あまりの悲しさに、目の黒玉をつぶしたんです」
成立と背景
上方の落語として伝わり、亡くなった桂小文治が演じていました。安永三年に京都で出た笑話本に載る話がもとになっており、さらにさかのぼると狂言に由来するといわれています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

