炬燵よいことこたつよいこと
こたつに入っても上と下のどちらかが寒いと言う男の、短い話。
あらすじ
寒い寒いとしきりにこぼしてばかりいる男に向かって、それなら家でこたつにでもあたっていればいいじゃないかと、見かねた誰かがそう声をかけました。男は困った顔で首を振ります。
男はこう返します。「いや、家でこたつにあたりましたんのや。ところがな、二本足を突っ込んでいますとな、頭のほうからさぶうなりますのんや。頭へふとんをかぶりますとな、今度は足がさぶうてたまりまへん。こりゃどないしたら両方暖うおまっしゃろ」
これを黙って聞いていた相手は、しみじみと感じ入った様子でうなずきながら、こう答えたのでした。「そりゃそうや、世の中のこっちゃこたつよいことはあるまい」二人はそろって笑い合いました。
成立と背景
上方に古くから伝わる小ばなしで、四代目笑福亭松鶴が高座で演じたときの速記が、明治四十一年二月に刊行された雑誌「はなし」の第一号に載せられています。古い記録が残る貴重な噺です。
このサゲは、こたつの上と下の両方がそろってはじめて満足だという意味を持つ「二つよいこと」という言い回しに掛けた、しゃれになっています。上方らしい軽妙な言葉遊びです。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

