滑稽清水こっけいきよみず
別題: 信心、杢の市、新壺坂
妻の不義を疑ったあんまが清水へ日参し、そこで二人と鉢合わせする話。
あらすじ
あんまを生業にする杢の市は、女房と馬之助という男の仲があやしいと人づてに聞かされました。はじめは信じませんでしたが、次第にそうかもしれないという気になっていきます。
目が見えないままでは仕返しもできないと考えた杢の市は、目が開くようにと清水の観音様へ毎日お参りを始めました。女房は、亭主が急に清水詣りを始めたわけが気になり、馬之助とともにこっそりあとをつけてみます。
すると杢の市は「かかあが馬鹿にして間男をしております。馬之助も親切なと思っていましたのに、あんまり親切すぎますのであやしいのです。どうか仕返しがしたいと思いますから、目をあけてくださるよう……」と祈っていました。
これを聞いて驚いた二人は、いままでのことがばれてしまっては大変だと考え、翌日からは「亭主の目があきませんように……」と、まったく正反対の願をかけるようになりました。
ところがある日、杢の市の目が少しずつ開いてきました。喜んで見回すと、後ろで自分の女房と馬之助が寄り添っておがんでいます。二人の顔を見たことのない杢の市は、それが誰かわからずこう言いました。「ああ、よその夫婦は仲がいいなぁ」
成立と背景
上方では「滑稽清水」という題で演じられていて、東京では品川の円蔵が「信心」という別の題をつけて演じています。上方には「杢の市」という異称も伝わっています。呼び名は土地ごとに異なります。
登場人物の名をお里・沢市という壺坂霊験記の名前に変えた「新壺坂」という演目も別に存在していて、もとは上方で生まれた噺だろうと考えられています。壺坂霊験記の知名度にあやかった演出です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

