乞食の産こじきのさん
難産の場に知恵者が現れ、銭で赤子を誘い出そうとする短い話。
あらすじ
女乞食が産気づきましたが、赤子は手ばかりが出て、なかなかそのあとが出てきません。近所の者たちが見かねて産婆を呼びましたが、産婆にも手のほどこしようがありませんでした。
そこへ通りがかった知恵者と評判の男が、これならばと思いつき、赤子の手のひらに銭をにぎらせて、そのまま外へそっと誘い出そうと試みたのでした。周りの者たちも固唾をのんで見守ります。
ところが当の赤子は、にぎらされた銭だけはしっかりと握りしめたまま、いったん外に伸ばしていた手を、スッとふたたび引っ込めてしまったのでした。見ていた者たちは思わず顔を見合わせました。
成立と背景
この噺の原話は、元禄十一年に京都で出版された笑話集「初音草噺大鑑」の巻一に収められている、「形より先づ産む心」という短い笑い話だったとされています。古い笑話集にまで系譜がたどれる噺です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

