落語の演目

こび茶こびちゃ

滑稽噺喧嘩職人

別題: 鯉津栄之助

はやり言葉を禁じたお触れを、紺屋の職人が言い抜ける話。

あらすじ

「こいつはいい」ということばが江戸で流行したことがありました。見当違いの場面でこれを口にしたために喧嘩となり、けが人まで出たため、困った町奉行はお触れを出し、以後このことばを使った者は、だれであろうと伝馬町へ引っ立てると布告しました。

神田竪大工町に住む紺屋職人の治郎兵衛は、考え事をしながら仕事をしていました。仲間から「働き詰めだな、少し休め。あそこを通る年増を見ろ、妙な格好だ」とからかわれ、思わず「なるほど、こいつはいい」と口にしてしまいます。

折悪しく通りかかった隠密に取り押さえられ、治郎兵衛は白洲で取り調べを受けることになりました。治郎兵衛は「かねてより、こび茶色をうまく染め上げたいと工夫をしておりました。あのとき通りかかった女の着物や鼻緒が見事なこび茶色でしたので、思わず『こび茶はいい』と申したのです」と申し開きをします。

訴えを聞いた奉行は、感心したように独り言をこぼしました。「うん、こび茶はいいと申したか……こいつはいい」

成立と背景

江戸時代の笑話本に、すでに似た趣向の原話があります。上方には、鯉津栄之助という名で同じ趣向を演じ「鯉津栄と申したか。こいつあえい」とサゲる噺も伝わっています。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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