気養い帳きやしないちょう
別題: 気晴し帳
大金を貸したと吹聴する男が、帳面の上だけの貸し借りだと明かす話。
あらすじ
町なかを歩きながら、通行人にも聞こえるほどの大きな声で「三井に五十万円貸してある」「鴻池はまだ返さない」「岩崎の五十万円はどうなった」などと言っている男がいました。
外でこれを聞いていた車夫がその話をよく覚えていて、たまたま乗せた岩崎家の手代にこの話をします。手代が調べてみましたが、そのような貸し借りはどこにもありませんでした。
手代がその男を訪ね、五十万円の貸しなどないはずだと問いただすと、男はこう答えます。「なくったっていいんだ。気養い帳につけてあるだけだ。人間、金がないからといってくよくよしてもはじまらない。これに勝手に貸金をつけて楽しんでいるのさ」
わけがわかった手代が「では五万円、今日お返ししたことにしましょう」と調子を合わせると、男はこう言いました。「そうかい、それじゃ私の帳面に入りとつけておきましょう」
成立と背景
先代の三升家小勝が、この噺を長年にわたって高座でたびたび演じ、得意の演目にしていたと伝えられています。よく似た趣向を持つ噺には「欲しい物覚え帳」というものもあります。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

