きめんさんきめんさん
別題: 素人占い、素人易者、俄易者
居候の若旦那が易者になり、次に医者になって、いずれもでたらめを言う話。
あらすじ
喜兵衛の家に居候の身をよせていた若旦那が、日々の小遣い稼ぎにと易者を始めることにしました。紀綿というもっともらしい名を名乗ると、次々に客がやって来るようになります。
まったくの素人なので、言うことはでたらめばかりです。町内のやもめ女房に「夫婦仲が悪いなら別れてしまえ」などと勝手なことを言ったのがもとで町の若い者に殴られ、易者は廃業に追い込まれてしまいました。
今度は医者になりすますことにします。下腹が張って腰がつるという女の患者に「それは脚気だ」と言ってのけ、あとで喜兵衛から、女がかかる病ではないと訂正される始末でした。
そこへ蔵前の万屋から迎えの者が来て、主人が風邪をこじらせたので診てほしいという頼みが入りました。さっそく出かけて行くと、奥さんからお茶をていねいに一服ふるまわれます。
「これはけっこうなお点前で、ご主人はどちらの御流儀で」と尋ねると、奥さんは「主人は千家でございます」と答えます。すると、でたらめ医者はこう言いました。「それではあなたは寸白でございましょう」
成立と背景
医者になりすましてからは、紀綿の名にちなんで調合した散薬という筋立てで「紀綿散」と呼ばれるようになり、これが「きめんさん」という題の由来になったといわれています。
前半の易者の場面だけで切り上げて演じることも多く、その場合は「素人易者」などの題を用いたうえで、「それでも占い者か」「いえ、何にも知らない者です」というさげで結びます。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

