落語の演目

片袖かたそで

滑稽噺泥棒義太夫

別題: 幽霊の片袖

墓を掘り返した盗人が、三年後に六部を装って遺族の前に現れる話。

あらすじ

墓を掘り返しては金品を盗む男が、間抜けな相棒の喜イ公を連れ、四日前に亡くなった上本町の山内清兵衛の娘の墓を、夜のうちに掘り返しに出かけました。娘は婚礼衣装や金と一緒に葬られていたのです。

二人は盗んだ金を山分けしたうえ、婚礼衣装には家の紋が入っていて売れないと考え、片袖だけを切り取って持ち帰ることにしました。

三年後の命日、清兵衛が貧しい人々に施しをしていると、六部の姿をした男が現れます。実はこの男こそ、墓を掘り返した盗人でした。

男は「諸国を修行して回るうち、お宅の娘さんが夢枕に立ち、成仏できないので高野山へ三百円納めてほしいと、この片袖を渡して消えました」と言って、片袖を差し出します。

すっかり信じた清兵衛は、高野山へ納める三百円に加え、道々困っている人に分けてやってほしいと百円も手渡しました。ちょうど隣家で忠臣蔵六段目の浄瑠璃の稽古をしているのに合わせ、男は「あとねんごろにとむらわれよ、さらばさらば」と口ずさみながら立ち去ろうとします。

そこへ喜イ公がのれんの陰から顔をのぞかせ、こう言いました。「うまいことかたるなあ」

成立と背景

天保初期に作られたとされる上方の噺です。大阪市東住吉区平野の大念仏寺で起きた墓あばき盗賊の検挙事件と、上本町にあった酒問屋の娘が、恋しい男の袖を胸に抱いたまま亡くなったという世間の噂を組み合わせて作られたと伝わります。

直接の原話とされるのは、宝永四年に刊行された北条団水の『昼夜用心記』に収められた「駿河に沙汰ある娘」です。サゲはこのほかに、山内清兵衛が「うまいことかたるなあ」と言う型もあります。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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