落語の演目

亀太夫かめだゆう

滑稽噺若旦那医者

くい打ちの名人が、屋敷の主人を宙づりにしてしまう話。

あらすじ

針仕事の神様として知られる浅草の淡島様には、胴の部分をひもで縛られてぶら下げられている亀を買い取って逃がしてやると、女の子の針仕事が上達するという言い伝えがありました。その近くには、亀という名のくい打ち職人がいて、腕自慢の日本一という評判を取っていました。

ある日、家主が頼み事があるとやって来ました。麹町の屋敷に住む七十歳の旦那が、親孝行な息子から若い女中を大勢つけてもらっているのに、近ごろ体の調子がすぐれないのだといいます。医者に診せると、運動不足で夜眠れないのが原因だとわかりました。

そこで、絹のひもで旦那の胴を縛って天井からつるし、ひもの端を隣の部屋へ引いておき、夜中にいらいらしたときはそのひもを引かせて、体を上下に揺らすという工夫が考えられました。ひもを引く役目には、一両の礼金と引き換えに亀が選ばれました。

亀公という呼び名では格好がつかないというので、亀太夫と名乗ってお屋敷に上がります。試しにひもを引いてみると旦那の具合がよく、本番を前に亀太夫は酒をたっぷりと振る舞われました。

酒を飲んでいるところへ鈴が鳴り、これがひもを引けという合図でした。はじめは丁寧に引いたり緩めたりしていましたが、あまりに鈴が鳴る回数が多く酒を飲む暇がなくなったので、亀太夫はしまいにひもを自分の体に結びつけたまま動いてしまい、旦那を宙づりにしてしまいました。

すっかり慌てふためいた旦那は、天井から宙に浮いたまま手足をばたばたとばたつかせながら、屋敷じゅうに響き渡るような大声でこう叫びました。「亀放せ、亀放せ、放し亀」

成立と背景

いったん途絶えていたこの噺を、柳家三語楼が晩年になって高座にかけ、それを古今亭志ん好が引き継いだと伝わります。旦那の体が上下に揺れる様子を仕草で見せる、目で楽しませる一席です。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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