地獄八景じごくはっけい
別題: 地獄八景亡者の戯れ、地獄
あの世に来た二人が、三途の川から閻魔の裁きまでを見物する話。
あらすじ
魚に当たって死んだ喜六が、あの世で顔なじみの隠居と行き会い、二人連れ立って歩き出します。大勢の亡者にまじり、閻魔大王の裁きで地獄か極楽かを決めてもらいに向かう道中でした。
三途の川に着くと、脱衣婆はまだ商売をたたんでおらず、渡し舟に乗り込みます。鬼の船頭は死んだ原因ごとに額を決めて船賃を取り立てていました。
向こう岸に着くと冥途筋という賑やかな通りがあり、芝居小屋には初代から続く歴代の団十郎が顔をそろえ、寄席には三遊亭円朝や先代の春団治が高座に上がっていました。
その先の念仏町では念仏を買うことができ、買っておけば閻魔の前での罪が軽くなるとのことでした。喜六たちはぞろぞろと閻魔庁へ入り、いよいよ裁きを受けます。
集まった亡者のうち、医者・山伏・歯抜き師・軽業師の四人だけが地獄行きと決まりました。釜ゆでにされかけますが、山伏が術を使って湯をぬるくしてしまいます。
針の山に放り上げられても、軽業師が残る三人を背負って針の上を渡ってしまいます。次は人喰いの化け物に丸のみにされかけますが、歯抜き師が化け物の歯を抜いてしまい、そのまま無事に呑み込まれます。
医者が化け物の胃袋を切り開いて外へ出ました。今度は体の内側にあった一本の綱を見つけて引き出し、くすぐるようにしてくしゃみを誘いながら、四人は下へ下へと降りていきますが、出口に近い場所でつかまって外に出られません。
困り果てた化け物が閻魔に「もうこうなったらあんたを呑まなきゃしょうがない」と言うと、閻魔がわけを尋ねます。化け物は「大王(大黄)を飲んで、下してしまうんです」と答えました。
成立と背景
上方で生まれた一時間以上かかる大作です。東京に伝わる「地獄めぐり」のもとになった噺ですが、細部が異なることから別の噺として扱われています。
原話は天保十年に上方で出た『はなしの種』に収められている「玉助めいどの抜道」です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

