落語の演目

御膳汁粉ごぜんじるこ

滑稽噺三遊亭圓朝の作武士

別題: 士族の商法、汁粉屋、素人汁粉

武家がしるこ屋を始め、客より店のほうが偉そうになってしまう話。

あらすじ

明治のはじめ、慣れない商売にさまざまな士族が次々と乗り出していくなか、しるこ屋を開いた者もいました。殿様と奥様がしるこを作り、お姫様が客への給仕に出るという店です。

御膳じるこがふつうのしるこで、そのほかに紅あんや塩あんなど何種類か用意しました。客が来ると奥へ「御前、町人が塩あんをくれと申しますが、いかがいたしましょう」とうかがいを立て、殿様は「くれろというならやるがよい」と答えます。

お姫様が運んでいき「町人、おかわりを食べるか」と尋ねると、客は「へい、ありがとうございます。どうぞちょうだいいたしたいもので……」と恐縮します。すると「少々ひかえておれ」とたしなめられました。どちらが客なのかわからないほどの応対ぶりです。

こうした調子でどこか堅苦しく格式ばった商いをずっと続けていたことから、御前じるこ、すなわち御膳じるこという呼び名が自然と始まったのだといわれています。名は体を表す一例です。

成立と背景

この噺は、名人と称された三遊亭円朝みずからが生み出した作とされていて、明治という時代の世相をありありと映した新作落語のひとつに数えられています。当時の世相を知る手がかりにもなります。

武家あがりの者が不慣れな商売に手を出す、いわゆる「士族の商法」を描いた噺として、同じ趣向を持つ「素人鰻」に続けて演じられることもよくありました。二本立てで演じる工夫だったようです。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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