擬宝珠ぎぼし
別題: 金の味
五重塔の擬宝珠をなめたいという若旦那のために、幇間が寺と掛け合う話。
あらすじ
若旦那が、これといった理由もなく気分がふさぎ込む病にかかってしまいました。心配した両親は、出入りの幇間に、若旦那の胸の内を聞き出せたら金側の時計をやると持ちかけます。
心配のあまり、幇間が若旦那を連れてわざわざ浅草まで出かけていくと、若旦那はようやくこう打ち明けました。「実は五重塔のてっぺんにある擬宝珠の、あの青いところがなめたい」
幇間はさっそく寺へかけ合い、二百円もの寄付と引き換えに許しを得ました。足場を組んで擬宝珠までのぼり、若旦那がペロペロなめていると、そこへ心配した両親までやって来ます。
父親は「やはり血筋は争えないものだ。うちは先祖代々擬宝珠好きで、わたしもあちこちなめて歩いたものだ」と話しはじめました。ちょうどそこへ、若旦那が足場をおりてきます。
「どうだ、うまかったか」と父親が尋ねると、若旦那は「たくあんの味がして、塩が利いておりました」と答えます。「塩は三升か、五升か」とさらに聞かれた若旦那は、こう答えました。「いいえ、六升の味がしました」
成立と背景
円遊や、目の不自由だった小せんが得意にしていました。落ちの「六升」は、塩の量を数えることばに、青銅の擬宝珠に浮く緑青(ろくしょう)という読みを重ねてかけたものになっています。
この噺の原話は、安永二年に江戸で出版された『聞上手』という本の中に収められている、「かなもの」という短い一編にあるとされています。擬宝珠好きが親子で共通している噺です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
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戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

