下女稲荷げじょいなり
奉公先を替えない下女に、その理由を尋ねる短い話。
あらすじ
大阪では四月と十月が、下女が奉公先を入れ替わる時季とされていました。その時季が近づくたびに、下女たちは暇をもらって里へ帰るかどうかという話をあれこれし合っています。
そんな中、一人だけはずっとこの家にいると言う下女がいました。ほかの下女が「あんたのところは、食べ物がいいのか」と尋ねると、その下女は「そう、毎日赤ごはんですよ」と答えます。
それを聞いたほかの下女たちは顔を見合わせ、なるほどというふうにうなずきました。おいしいものを食べさせてもらえるなら、この家にとどまり続けたくなるのも当然だと得心し、こう言い合いました。「ああ、それで稲荷、居成りなんだね」
成立と背景
この噺に出てくる「居成り」とは、年季が明けたあとも奉公人が同じ勤め先にとどまり続ける状態を指すことばです。読みが同じ稲荷という語にかけて、サゲに仕立てられています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

