出歯吉でばきち
女の本心を試すため心中を持ちかけた男が、道中で難儀する話。
あらすじ
出歯吉という、少し足りないところのある男が、なじみにしている女郎の小照を女房にしたいといい、そのために六十両もの大金を使うと言い出しました。
親代わりの三木屋の吾助はこれを聞いて、女郎に金をだまし取られているに違いないと疑います。そこで、女に心中を持ちかけて本心を試してみろと出歯吉に教えました。
出歯吉から心中話を持ちかけられた小照は、出歯吉にかんざしまで質に入れられていたこともあり、若い衆の喜助にあとで助けてくれるよう頼んだうえで、千日の墓所へ心中に向かいます。
約束の刻限になっても喜助が現れず、待ちきれなくなった出歯吉のほうが先に薬をあおって倒れてしまいました。小照と喜助は、出歯吉のふところから五両を抜き取り、着物まで持ち去ってしまいます。
死んだふりをしていた出歯吉は生きて帰り、吾助に一部始終を報告しました。吾助は仕返しをしてやると、小照が千日前を通る折に幽霊の格好で出るよう出歯吉に教えます。
小照と喜助が通りかかったところへ出歯吉が幽霊の姿で現れると、小照は気を失い、喜助は驚いて逃げ帰りました。出歯吉と吾助は小照を裸にして帰ってしまいます。
喜助の知らせを聞いた若い者たちが駆けつけると、小照が裸で倒れていました。口々に交わす言葉が次々に聞き違えられ、最後にこう言われました。「阿呆いえ、ここは千日の墓場や」
成立と背景
上方ばなしで、桂小文治の速記が雑誌『新演芸』第十二号に残っていますが、いまはほとんど演じ手がありません。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

