大黒だいこく
別題: 大黒や
大黒を信仰すれば富を得ると持ちかけられた酒屋の主人が、正体を知る話。
あらすじ
ある酒屋に、時折立ち寄っては大量の酒を飲み、余分な代金を置いていく老人がいました。身なりも良く、金持ちの隠居のような風格です。
気になった主人の五兵衛が素性をさぐると、老人は向島にまつられている生き神様、生大黒天のお守り役だと明かします。生大黒天を信仰すれば一年のうちに大きな富が得られるというのです。
すっかりその気になった五兵衛は、老人の言う通りに甲子の日を選んで生大黒天を迎える支度をしました。奉公人を外に出し、屋敷を掃除し、家じゅうの宝物や証文まで飾りとして並べておきます。
当日、老人は品のいい若い男を生大黒天だと言って連れてきました。男は首にかけた大きな袋を開けると、並べてあった宝物や証文を次々に中へ入れ始めます。
驚いた五兵衛がとがめると、男は言い放ちました。「酒屋のくせに高利貸しまでするとは不届きなやつ。おれたちは泥棒だ」。そのまま短剣で五兵衛の胸元を刺します。
あっと声を上げたところで、五兵衛は女房に揺り起こされました。すべては夢だったのです。
そこへ桂庵の伊兵衛がやって来て、かねて頼んでいた妾の話がまとまったと告げます。住職を亡くした教養ある女性だと聞いた五兵衛は答えました。「それはいけない。もう大黒はこりごりだ」
成立と背景
大正元年発行の「文芸倶楽部」に、三遊亭円右の速記が載っています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

