ちり塚お松ちりづかおまつ
別題: 初音のお松、小夜衣
吉原の花魁と夜鷹が額の歌で張り合い、思わぬ縁につながる話。
あらすじ
吉原の万字楼にいた滝川という花魁が、客にねだって三十両の額を店にあげました。これを聞いた、辻々でからだを売る夜鷹のお松という女が、自分も一枚額をあげたいと言い出し、滝川の額の近くに自分の額を並べてぶら下げます。
滝川の額に書かれた歌は、身のほど知らずのうぬぼれた歌だと評判が悪くなりました。それに引きかえ、お松の額に書かれた歌は出来がよいと評判になっていきます。
これでは店ののれんに傷がつくと考えた万字楼の主人は、お松のもとへかけあいに行き、結局二つの額をどちらも取り下げさせてしまいました。
これほど歌の心得のあるお松は、夜鷹の身でありながらよく本を読んでいました。あるとき客に「夜鷹が本を読んだって出世のしようがあるもんか」とひやかされると、お松はその場で和歌を詠んで返し、これが評判になって「ちり塚お松」と呼ばれるようになります。
ある日、細川良悦という御殿医が見回りに来たとき、お松が書いた和歌の紙を見つけました。ちょうど珍しいものを集めている殿様のために、御殿医はこれをもらって帰ります。
殿様はこの歌に感心し、書いた夜鷹に会ってみたいと言い出しました。身なりを整えてお松が御殿へ上がったところ、すっかり殿様に気に入られ、そのまま御殿に奉公することになりました。
成立と背景
この話に続けて「継信」につないで演じ、「初音のお松」という題にすることもあります。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

