荒川の桜あらかわのさくら
花見帰りの舟が急に動かなくなり、抜いて持ち帰った桜の木をめぐって騒ぎになる話。
あらすじ
旦那と出入りの棟梁、幇間の三人が、柳橋から舟を仕立てて花見に出かけました。千住大橋で舟を降り、荒川の土手で酒を飲んだり子供をからかったりし、サクラの枝を折って巡査にとがめられたりします。
遅くなるからと舟へ戻る道すがら、棟梁が土産にと小さなサクラの木を一本引き抜いてしまいました。旦那が「そんな棒のようなものを振り回して危ないよ」と止めるのも聞かず、そのまま舟に持ち込みます。
鐘ヶ淵まで来たところで舟が急に動かなくなり、波が立って水が舟べりまで上がってきました。船頭は淵の主の仕業だと告げ、祖父の代・父の代にも同じことが一度ずつあったと話します。
棟梁は取り合わず、主の頭を棒でつついてやると言って、サクラの木で渦の中心を突きました。とたんに棟梁ごと渦の中へぐっと引き込まれ、あたり一面の水が真っ赤に染まります。しばらくして波もおさまりました。
旦那が船頭に「棟梁は気の毒なことをした。船頭さん、まっ赤になったのは棟梁の血の色かね」とたずねると、船頭は「いえ、ここの主はヒゴイだそうで」と答えます。旦那は得心してこう言いました。「道理で棒ふり(ボウフラ)がのまれてしまった」
成立と背景
初代三遊亭円左が作った噺として伝わっています。サゲに出てくる「棒ふり」とは、天秤棒をかついで売り歩いた魚屋などを指す呼び名で、この言葉が地口のもとになっています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

