仇討の次第あだうちのしだい
登場人物の名を書き出してから語り、頭の字で落とす仇討ちの話。
あらすじ
これから仇討ちの一席を始めるにあたり、大勢の名前が出てまいりますのでと前置きをし、登場人物の名をあらかじめ書いた紙を、客席からよく見えるところに貼り出しておきます。
家中一の美男とうたわれる近習の今井新八郎と、その朋輩の野村隼人が主な顔ぶれです。二人は幇間医者の和田に連れられて廓へ通い、今井は花むらさき、野村はしずはたと、それぞれなじみの間柄になりました。
そのうち野村は、今井の相方である花むらさきにひそかに心を移していきます。和田や茶屋の主人皆川屋喜兵衛と語らい、惣九郎と駄八という二人の男を駕籠かきに仕立てあげました。
花むらさきと寝ていた今井を、屋敷からの急な呼び出しだと偽って駕籠に乗せ、途中で待ち伏せていた野村が闇討ちにしてしまいました。深酒でつぶれていた若党の宇源太はこれを知って屋敷へ駆け戻り、事の次第と関係者の名を今井の母に伝えます。
兄の仇を討とうと刀を手に飛び出そうとする弟を、母は「この覚え書きをよく読んでみや」ととどめます。頭文字を右から順に指させると、こう並びました。「今野花し和皆宇惣駄」
成立と背景
文政から天保にかけて、実話のように聞かせておき最後に落語だと明かす「出しものばなし」の一つとして流行しました。今でもごくまれに、余興として演じられることがあるということです。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

