落語の演目

百人一首ひゃくにんいっしゅ

滑稽噺上方落語が原話ご隠居

百人一首の歌の意味をめぐって、隠居と男が珍問答を重ねる話。

あらすじ

隠居のところへ、ガラッ八のような男が訪ねて来て、百人一首の本を見つけ、あれこれ珍問答を始めます。

小野小町の歌のくだりでは、深草少将が百夜通いの九十九夜目に亡くなった話を聞き、男は「うちの親父は雪隠に三十六遍通った」などと的外れな合いの手を入れます。

西行の歌になると、男は「あこぎ」の意味がわからず、隠居は西行が出家して東国へ旅立ったいきさつを語り始めます。尾州熱田の野辺で用を足していると、下から虫がガサガサと這い出てきました。

驚いた西行が一首詠むと、実はこれが亀の甲羅の上でのことだったとわかり、歌を聞いた亀までもが道端で居眠りをする西行をからかう歌を返してきます。

続いて鼓ヶ滝で、玉津島明神と住吉明神から歌を直された西行が、たんぽぽの花を詠んだ一首を新たに詠み直し、定家卿に差し出しますが、三人がかりの合作だからと選から外されてしまいます。

がっかりした西行が伏見の橋のたもとで身を投げようとしたとき、川面に十五夜の月が映っているのを見て一首詠むと、この歌がついに百人一首に選ばれました。

話は隠居の着ている十徳へと移り、前から見れば羽織のよう、後ろから見れば衣のようで「ごとくごとく」だから十徳だという語呂合わせを聞かされた男は、これを覚え込んで友達に説明しようとしますが、うまく言えずに何度も言い間違えてしまいます。

とうとう相手に「おまえの言うのは、ごとくごとくで十徳じゃろう」と見抜かれてしまいます。男はこう返しました。「いや、わしゃ畳んでとっ……と……くじゃ」

成立と背景

上方の噺で、「小町」「西行」「十徳」という三つの小咄をつなぎ合わせてできています。「十徳」は百人一首と直接関わりがなく、やや強引なつなぎ方になっています。橘ノ圓都が演じました。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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