春雨はるさめ
すりこ木を思い人に見立てた下女を、桶屋がだます話。
あらすじ
下女の一人が、恋の病にかかっていました。思いを寄せる相手は、かつて浅草の市で山椒の木で作ったすりこ木を売っていた行商人だそうです。
そのとき買ったすりこ木をその人だと思い込み、毎晩抱いて寝ては、ときどき窓から表に出して春雨で洗っていました。
見かねた仲間の下女たちが、相手の男を探し出してやろうと話しているところへ、桶屋がやってきます。下女は、この桶屋こそが探していた男だと思い込みました。
仲間の下女からわけを聞かされた桶屋は「そんなに思ってくれるなら、いっしょに駆け落ちをしよう。夜十二時を合図に逃げておいで」と持ちかけます。喜んだ下女は、貯めていた金をそっくり桶屋に渡してしまいました。
桶屋が仲間にこの話をすると「それじゃお前、今夜逃げるのか」と聞かれます。桶屋は答えました。「冗談じゃない、下女がおれをすりこ木にしやがったから、だましてやり返してやったのさ」
成立と背景
円朝が「春雨」「恋病み」「山椒のすりこ木」という三つの題から作り上げた三題噺です。その後高座にかける演者もいましたが、出来がよくないとされ、近ごろは演じ手がなくなっています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

