花見心中はなみしんじゅう
別題: 心中の心中
死ぬつもりで向島へ行った男が、心中しようとする男女に行き合う話。
あらすじ
上方者の善次郎が、呉服屋の重兵衛を頼って江戸に出てきましたが、何をやってもうまくいかず、死ぬ覚悟を決めて向島の土手へ向かいます。
サクラの木に首をくくろうとしていると、そこへ男女二人連れが走ってきました。木の下で「惚れ合っているのに添い遂げられないなら、この百両で死骸を片付けてもらい、二人で心中しよう」と話し合っています。
二人が刀を抜いたのに驚いた善次郎は、思わずサクラの枝を踏みはずして二人の上に落ちてしまいました。二人はびっくりして「お花来い」と言い残し、逃げ去っていきます。
善次郎は残された百両を拾って帰り、これを元手に懸命に働いて、りっぱな呉服屋の主人になりました。
ある日、帳場に座っていると、似合いの若夫婦が店にやってきます。「もしや御新造さまは、お花さんとおっしゃいませんか」と尋ねると、「あら、どうしてわたしの名を」と驚かれました。
善次郎がこれまでのいきさつを話すと、夫婦は「あのとき落ちてきてくださったおかげで家の者に行き会い、こうして夫婦になれました。あなたこそ命の恩人です」と礼を言います。互いに「命の親」だと言い合っているところへ、奥にいた善次郎の母親が口を挟みました。「親だ親だと争っているが、してみると私にとってはまま子なのかしらん」
成立と背景
名人と呼ばれた円喬の速記が残っていますが、ほかにはほとんど演じ手のない噺です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

