コラム・特集2026年8月14日
講談の演目の分け方|軍記物・御記録物・侠客伝・義士伝
講談の会の案内を見ていると、 「軍記物」「義士伝」「白浪物」といった言葉が並ぶことがあります。
これは講談の演目を題材で分けた呼び名です。 どれが自分の好みかが分かると、会を選ぶのがぐっと楽になります。
軍記物・御記録物・世話物・白浪物・侠客伝・義士伝など。落語が聴き手の受け取り方で分けられるのとは、分け方の軸が違います。
講談の演目はどう分かれるか
落語が「笑わせる・泣かせる」という聴き手の受け取り方で分けられるのに対し、 講談は何を題材にしているかで分けられます。
これは講談の成り立ちから来ています。 講談はもともと、軍記や記録を読んで聞かせる芸でした。 だから「何について読むのか」が、そのまま分類になりました。
合戦を読む ── 軍記物
軍記物は、合戦を扱う演目です。 「三方ヶ原軍記」「源平盛衰記」などが知られています。
ここが講談のいちばん講談らしいところで、 修羅場(ひらば)読みの聴きどころになります。 一定の調子で朗々と続ける独特の口調で、人と馬が入り乱れる場面を読んでいきます。
修羅場読みは講談の基礎とされ、前座のうちに稽古します。 意味を追うというより、言葉のリズムそのものを浴びるような聴き方になります。
大名家の記録 ── 御記録物
御記録物は、大名家に伝わる記録に取材した演目です。 お家騒動を扱うものが多く、家督や跡目をめぐる争いが軸になります。
武家の作法や、家中の人間関係が細かく読まれるので、 時代劇が好きな方には入りやすい系統です。
町の話 ── 世話物
世話物は、町人の暮らしのなかの出来事を扱う演目です。 落語の長屋噺・人情噺に近い手ざわりがあり、 講談を初めて聴く方にはここが分かりやすいと思います。
盗賊 ── 白浪物
白浪物は、盗賊を主人公にした演目です。 「鼠小僧」「石川五右衛門」など、名前だけは誰でも知っている人物が並びます。
義賊として描かれることが多く、 悪事を働きながら人に憎まれない、という描き方が持ち味です。
親分衆 ── 侠客伝
侠客伝は、侠客・親分衆を主人公にした演目です。
- 清水次郎長伝 … 次郎長一家の物語。「森の石松」の一連もここに入ります
- 国定忠治 … 上州の侠客
- 天保水滸伝 … 利根川べりの争い
侠客伝は長い連続物になっているものが多く、 何日もかけて読み継がれます。
赤穂義士 ── 義士伝
義士伝は、赤穂義士の討ち入りにまつわる一連の演目です。 講談のなかでも特別に大きな一群で、次のように分かれます。
| 呼び名 | 何を読むか |
|---|---|
| 本伝 | 事件の本筋を順に読む |
| 銘々伝 | 四十七人それぞれの逸話を読む |
| 外伝 | 事件に関わった外部の人物を読む |
つまり、討ち入り当日だけの話ではありません。 一人ひとりの来歴や、周りの人々の物語まで含めて、 膨大な数の演目が積み上がっています。
義士伝は十二月に集中してかかります。 討ち入りの日にちなんだ興行が組まれるので、 講談を聴いてみたい方には十二月がいちばん機会の多い月です。
仇討物・出世譚
このほか、仇討ちを軸にした仇討物、 一人の人物が身を立てていく出世譚といった分け方もされます。
分類の名前と数は資料によって違い、 どこまでを一つの系統と見るかにも幅があります。
演目を選ぶときの目安
| こんな方に | おすすめの系統 |
|---|---|
| 講談らしい語りを浴びたい | 軍記物(修羅場読み) |
| 物語をじっくり追いたい | 侠客伝・義士伝の連続物 |
| 落語から入ってきた | 世話物 |
| 時代劇が好き | 御記録物・白浪物 |
| まず一度だけ聴いてみたい | 読み切りの会(十二月なら義士伝) |
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- 講談の「連続物」と「読み切り」 … 何日も続く演目の楽しみ方
- 寄席の用語集 … 軍記物・御記録物・白浪物・侠客伝・義士伝
- 落語の噺の分け方 … 落語の系統との比較

