コラム・特集2026年7月23日
出囃子とは?落語家の登場曲と寄席のお囃子をやさしく解説
寄席で演者が高座に上がるとき、三味線と太鼓の陽気な音楽が流れます。これが「出囃子(でばやし)」——いわば落語家の登場テーマ曲です。プロ野球選手の登場曲のように、演者ごとに決まった曲があり、常連のお客さんは出囃子を聴いただけで「次は誰か」が分かります。
出囃子は演者ごとの「登場テーマ曲」
二ツ目以上の落語家は自分の出囃子を持ち、高座に上がるたびにその曲で登場します。演奏しているのは、舞台袖にいるお囃子さん(三味線)と前座(太鼓)による生演奏です。
出囃子とは——高座への登場音楽
出囃子は、演者がめくり(名前の書かれた札)とともに高座へ上がる間に演奏される音楽です。曲は歌舞伎の下座音楽や民謡・端唄などに由来するものが多く、演者の芸風に合った曲が選ばれます。
寄席の音楽はすべて生演奏です。舞台袖の「下座(げざ)」で、お囃子さんと呼ばれる三味線の演奏家が弾き、太鼓や鉦は前座の落語家が受け持ちます。太鼓の稽古は前座修業の大切な一部です(階級のしくみは前座・二ツ目・真打とはへ)。
自分の出囃子はいつから持てる?
- 前座…自分の出囃子はまだ持てず、共通の曲(「前座の上がり」と呼ばれます)で高座に上がります
- 二ツ目…昇進すると自分の出囃子を持てるようになります。羽織とともに、二ツ目昇進の象徴のひとつです
- 真打…師匠から受け継いだ曲や、一門ゆかりの曲を使う演者もいます
つまり寄席の開演直後、共通の出囃子で上がってくる一席が**前座(開口一番)**です。出囃子に注目すると、番組の進行や演者の階級が耳で分かるようになります。
出囃子以外の「寄席の音」
寄席では、出囃子のほかにも一日を通じてさまざまなお囃子が鳴っています。
| 音 | いつ・何のため |
|---|---|
| 一番太鼓 | 開場のとき。「どんどんどんと来い(お客さんが来ますように)」と打つとされる |
| 二番太鼓 | 開演前。まもなく始まる合図 |
| 出囃子 | 各演者の登場のたび |
| 追い出し(はね太鼓) | 終演のとき。「でてけでてけ」と打つとされる、寄席らしい見送りの太鼓 |
開演前と終演後は、太鼓の音にも耳を傾けてみてください。寄席が「音の空間」であることが実感できます。
出囃子を楽しむコツ
- 仲入り後の出囃子に注目する…主任(トリ)に近づくにつれ、風格のある曲が増えていきます
- 同じ演者を2回聴く…出囃子が同じことに気づくと、「あの曲=あの人」という楽しみが生まれます
- 番組表とセットで聴く…今日の番組表で出演順を見ながら聴くと、出囃子と演者が結びつきやすくなります
用語のおさらいは寄席の用語集でどうぞ。
よくある質問
- 出囃子とは何ですか?
- 落語家などの演者が高座に上がるときに演奏される登場音楽です。二ツ目以上の演者は自分の決まった曲を持っています。
- 出囃子は誰が演奏していますか?
- 舞台袖の下座で、お囃子さん(三味線の演奏家)と前座(太鼓・鉦)が生演奏しています。録音ではありません。
- 前座にも出囃子はありますか?
- 前座は自分の出囃子を持たず、「前座の上がり」と呼ばれる共通の曲で高座に上がります。自分の曲を持てるのは二ツ目からです。
- 一番太鼓・追い出しとは何ですか?
- 一番太鼓は開場を知らせる太鼓、追い出し(はね太鼓)は終演を知らせる太鼓です。寄席の一日は太鼓に始まり太鼓に終わります。
出囃子が気になりだしたら、寄席通いの始まりです。今日はどの寄席で誰が上がるか、番組表でチェックしてみてください。

